インド禅定林大本堂建立ご協力のお願い

謹啓
皆様におかれましてはいよいよご清栄にてご活躍のこと、心よりお慶び申し 上げます。
インド禅定林並びにパンニャ・メッタ協会の活動につきましては、平素より 格別のご理解とご尽力を賜っておりますこと心より御礼申し上げます。
既にご高承のとおり、一九七一年にサンガラトナ・法天・マナケ師がインド 仏教徒の衆望を担い、日本天台宗へ留学僧として来日し、延暦寺泰門庵住職、 堀澤祖門師の下で一五年間の研鑽の後帰国し、仏教再生の活動拠点として一九 八七年に禅定林を開創し、爾来二〇年になろうとしております。その間皆様の ご支援を頂き、インド社会に着々と活動の輪を広げてまいりました。
 サンガ師の活動は、まずインド社会における宗教者のイメージ改革から始ま りました。聖者としてだけの僧侶ではなく、社会の中に身を挺して働く僧侶で あるべきと考えました。これこそ日本天台のご開祖である伝教大師最澄の「己 を忘れて他を利する」菩薩行の実践と考えたからです。サンガ師はインド社会 に入り、貧困層と言われる人々の中でひたすら働き続けました。識字教育、学 校運営、巡回医療、災害救援など、それら活動の詳細はPM会報でご存知の通 りです。やがて周辺には多くの人々が集うようになり、サンガ師の活動とそれ を支える天台大乗仏教の教えが、底辺で生きる人々の希望の光としてなくては ならない存在になってきていると言えます。この度の大本堂建立の誓願はこう した流れの中で生まれて来ました。
釈尊の教えは万人に平等です。すべての人々は等しく仏となる種を持ち、悟 りへの機会は平等に開かれております。その尊さに気付き、心の拠り所として 生きることが、仏教徒としての基本であります。
 この度のインド禅定林大本堂建立は、釈尊の故郷インドにもう一度、大乗仏 教平等精神の象徴として、人種・民族・宗教・宗派を越えて人々を受け入れる 「智恵と慈悲」の結晶として、意義深いものであります。「インド大乗仏教総 本山」としての禅定林と、ひとりでも多くの方がご縁を結んで下さり、出来る ならばその地を訪れ、仏教発祥の大地や空気に触れることによって、み教えを 五感で体得して頂けることが願いであります。
時あたかも天台宗では「開宗千二百年慶讃大法会」が奉行されており、その 事業の中でも禅定林大本堂建立の趣旨をご理解頂き、助成して頂くこととなっ ております。
つきましてはサンガ師がご縁を頂いております皆様の一層のご理解をお願い 申し上げ、開宗千二百年慶讃大法会という得難い機縁にインド禅定林開創二〇 周年の節目を迎えるに当たり、この大誓願が無事円成できますよう、旧倍のご 協力のほど心よりお願い申し上げます。
合  掌

平 成 1 6 年 5 月 吉 日 
インド禅定林大本堂建立委員会
委員長    谷   晃 昭