第28回正力松太郎賞にサンガ師 外国人では初めての受賞

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 (財)全国青少年教化協議会が主催する今年度の第28回正力松太郎賞に、インド禅定林で活躍しているサンガラトナ・法天・マナケ住職が決まり、5月12日に東京ドームで表彰式が行われた。外国籍の受賞者は初めて。
 読売新聞社主の名を冠した同賞は、仏教精神に基づいた青少年の育成活動や、文化・社会活動を対象に、青少年の情操教育に功績があり、今後も活動が見込める個人・団体に贈られる。
 サンガ住職は、9才で来日し、堀沢祖門師を師匠に14年間比叡山で修行。天台宗の僧侶として、インドでは少数派である仏教の布教につとめ、インドのカースト制度に反対して「人間平等」を主張している。そのために「パンニヤ・メツタ子どもの家」(孤児院)を開設したり、無料図書館やインドの青少年育成に尽力している。
 来日の度に、インドの現状や差別撤廃を訴えて、日印両国の仏教の架け橋としての役割を果たしていること、また両国の青少年を国際社会に貢献できるよう育成していることなどが評価されて、今回の受賞につながった。
 また、天台宗にあってはハワイ別院などに続いて、海外伝道の大きな一翼をになっており、今回の受賞でサンガ師の活動が日本の仏教界でも認められたと、宗内でも喜びの声が広がっている。
 サンガ師は「国籍と肌の色をのぞけば、中身は日本人です」が口癖。今回の受賞についても「個人の力で受賞したわけではない。多くの人々の助けによってここまでやってこれたと思う」と語る。賞金は全額パンニヤ・メッタの活動に使われる。
 「布施行でやっているつもりなので、賞を頂くのは面はゆい。しかし、私がインドでかかわっている人々は、夢も希望も持てない人が多い。今回、その人たちが『自分たちも頑張ろう』と思う励みになればと思い受けさせて頂いた。自分としては、今後も同じように活動していくだけです」。
 24歳でインドのポーニに禅定林と名付けた寺を建立。95年に始めた「子どもの家」 には、孤児たち35人が暮らす。貧しく虐げられた人々の現状を変革するには、教育が不可欠との信念から小中学校も設立した。
 受賞式には、インドで活動中だったために出席できなかった。
 代理で表彰を受けた谷晃昭パンニヤ・メッタ日本委員会事務局長(群馬教区・西光寺住職)は「外国人として初めての受賞は、イツドの子どもたちへの教育や、福祉活動が認められてのことであり、我々も誇りに思う。サンガ師は約20年に亘ってインドで活動しているが、インドでは彼のように活動する僧侶は珍しい。人々と共に積み重ねた菩薩行が認められたことは喜ばしい限りだ」と語っている。
 今回の正力松太郎賞は、他に岩上寛了師(高野山真言宗)、フィールドソサイエティ森の子クラブが受賞し、2個人、1団体に贈られた。
【写真解説文】インド禅定林にて、今年度の得度式を行うサンガラトナ師
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