第28回正力松太郎賞にサンガ師 外国人では初めての受賞
奈良康明駒大総長が講演

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 全国青少年教化協議会(中村康隆会長)は、仏教精神に基づき青少年の育成や文化・社会活動に業績をあげている個人・団体を表彰する「正力松太郎賞」の第28回表彰式を12日、東京都文京区の東京ドームホテルで開催した。今回は、個人の部で高野山真言宗の岩上寛了長勝寺住職(埼玉県妻沼町)、天台宗のサンガラトナ・法天・マナケ禅定林住職(インド)、団体の部でフィールドソサイエティー・森の子クラブ(久山喜久雄代表、京都市左京区・法然院内)が受賞した。
 有田恵宗理事長は「明日を担う子どもたちの情操を養う地道な努力を全国各地で多くの寺院関係者が続けておられる。受賞された方の一層の活躍を祈念する」と挨拶。 続いて渡邊寶陽立正大学名誉教授が選考報告、岡本永司真言宗豊山派大本山護国寺貫首が祝辞を述べた。
 受賞した岩上住職は40余年続けている日曜学校を振り返り「子どもと接するとき、子どもは仏様だと感じ、心洗われる思いがする。お寺を地域の人が集まる心の学校にしたい」と穏やかに語り、日曜学校で子どもが読む「誓いの言葉」を自らが実践すべきこととして一言ひとことかみしめるように読み上げた。
 外国籍で初受賞となったマナケ住職はインドに滞在しているため、マナケ住職が理事長を勤めるパンニャ・メッタ協会日本委員会の谷晃昭事務局長が代理出席し表彰状を受け、「インドの仏教僧は寺院内で修行に専念しているが、マナケ住職は民衆の中に入って慈悲の実践を行なっている」と語り、巡回医療や識字教育などの活動を紹介した。
 「自然観察会」やハイキングなどで、子どもたちに自然と親しむ場を提供してきたフィールドソサイエティー・森の子クラブの久山代表は「実際の自然環境に学ぶことを目的に活動してきた。生き物と出会う子どもたちはワクワクドキドキし、五感が研ぎ澄まされる。地域の要であるお寺の協力があったから続けてこられた」と、二人三脚で活動してきた法然院(浄土宗系単立)の梶田真章住職にも感謝の気持を表わした。
 また表彰式に先立って奈良康明駒沢大学総長が「現代社会における慈悲行」と題して講演を行なった。奈良総長は「今の若者は自立してないように見受けられる。それは大人が自分の意見を言わず、若者に判断材料を提供してこなかったからではないか。これは社会約な慈悲の欠如だ」と他者に関心を持つことの大切さを訴えた。
【写真解説文】長年の活動が高く評価された(左から)久山代表、 
岩上住職、マナケ住職の代理で出席した谷事務局長
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