まだ日本に滞在していた時の事ですから、２０年以上前のことになると思いますが、新聞でマザーテレサさんが日本に来た記事を読んだ事があります。普段さらりとしか眼を通さない新聞、インドから人が来たとあっては一点一句を事細かによんだ覚えがあります。その記事の中、マザーが東京から広島に行く新幹線の中での出来事が記されていました。喉が渇いたので、水が欲しいとお願いしたらお世話係の人が、車両外のデッキに出て紙コップに水を入れて持って来てくれました。飲み終わり、お世話係にコップを返すと、受け取った人はコップをくしゃくしゃにしたので、どうするのかと聞くと、捨てるのだとの返事。どう見ても、コップの使い始めは自分。と言うことは一回使って捨ててしまう。使い捨てと言う現状に慣れ親しんでいる我々にとっては当たり前の行為ですが、捨てるどころか、使えるものが少ないインドで過ごしているマザーにとっては信じられない行動だったようです。インドに持って帰れば、日常生活の中で何十回と使用可能なカップだと思ったマザーは、多数もらうわけにはいかないかと考え、新幹線の中の水飲み用のコップをもらって帰ったそうです。所用で東京、埼玉に行く事があり１１月２９日に新幹線に乗りました。この日は車掌さんが、富士山が見えますと車内放送するほどの澄み切った日、半分以上雪に覆われた富士山がくっきりと顔を覗かせていました。車内放送が入ったとたん、多くの人がカメラを構え写真を取り出しました。私は窓側席ではなかったのでデッキに出て写真を撮り、終わってから、水を飲みたいと思い、新幹線の中には飲み水が有るとの、古いマザーの記事を思い出し、トイレ近辺を探しました。しかし幾ら探しても、飲み水も、紙コップも見当たりません、それどころか、トイレ横の洗面所には、飲み水ではありません、とのシールが貼られていました。水を飲みたくなったらどうするのだろうと思ったら、沢山の人が水、お茶、ジュースの入ったペットボトルを持っていました。もちろんボトルはカップ同様のみ終わればゴミ箱行きでしょう。２０数年の間に社会事情はずいぶん変化したことを実感しました。
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2006年11月30日(木)
No.22
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